スタートは、お客様第一主義

独立する前の16年間、同じく重量物の搬送システムを取り扱う仕事をさせて頂き、とても充実していました。
だれかの役に立っていると感じると次の仕事に取り組む大きなモチベーションになりました。そういう意味ではとても幸せでした。十数年も経ちますと自分なりの事業観といいますか、達成すべき項目が出てきます。
誰にでも言えますが、いろんなプレッシャーの中で、与えられたノルマを達成することが求められますね。

そうした中でお客様への対応が自分の思うようにできないこともありました。装置を使用する女性の手のサイズに合わせて、リフトのハンドルを作り直して欲しいとお客様が希望されたとします。技術的に難しいことはないですが、作り直すことで納期が遅れます。今月の売り上げ計画が減るのは営業マンとしてはとても困ります。こうした時に現場主義から遠ざかるような判断も出てきます。今月の、来月の、今期の、そうした一定期間における売り上げ、あるいは利益、それらを追及していくと断らざるを得ない事案が出てきます。時間や手間をかければできるとわかっていても「ごめんなさい、できません」と返すのは悲しいことですし、そもそも挑戦しなければ新しいモノは生まれません。
私は、設計・営業・工事・アフター面、すべてにおいて、お客様のことを一番に考えて、ご要望にお応えできるような徹底したお客様第一主義を貫きたい。その決意がブレなければきっと成功すると信じています。

お客さまの事を最優先で取り組むと、副産物が生まれます。個別の要求は、技術的なチャレンジとなるケースが多いのですが、そこで生まれる設計や製作上のノウハウは貴重な財産となります。この財産は次の要求に、1年後なのか5年後か、判りませんが、いつかきっと役に立つのです。さらに、難事をやり遂げると達成感が大きい。この感覚もとても大切にしています。

現在、弊社のお客様は日本全国、さらには海外で展開されている日系企業が運営しているフィリピン、タイ、インドネシア、中国などの工場もあります。一般的には、往復1000kmの出張は申請を出して、上役から承認印を受けてからでないと、そのお客様のところへは訪問できませんよね。でも私は従業員みんなに言っています、「お客様から話があったら自分の判断で行こうよ」と。報告は後でいいんです。「とにかくお客様が困らないようにしようよ」という意識で社員一人一人が動ける会社でありたいと思っています。

構造はシンプルに。その上で、すべてのお客様に合わせたカスタマイズを

当社の主力商品である「イージーリフト」という装置は、1台のバキュームモーターだけで吸着と持ち上げの両方の作業を行う真空方式のバランサーです。人が力を使わなくてすむ機械を、できるだけシンプルな設計で機能させることにこだわっています。シンプルな設計をするということは、操作しやすいのはもちろん、メンテナンスもしやすく、機械が長持ちするということ。

この「イージーリフト」を使うことの最大の利点は、何といっても「スピード」です。安全であるということは、もはや利点でもなんでもなくて土台、あって当たり前の要素です。私たちにとってお客様に強くアピールできる利点というのは、作業効率を改善できるスピードであり、それを最大限に発揮するために、個々の作業現場に合わせた自由度の高い設計にあります。

たとえば天井にレールを取り付ける場合でも、電車の線路と同じように、お客様が欲しいだけの長さ・幅で繋ぎ合わせていく自由設計です。天井にレールを付けないのであれば、アームが旋回するタイプもあります。旋回するタイプであれば、アームの長さも自由設計、旋回角度も自由設計、アームは地面から立てるもよし、天井からぶら下げるもよし、すべてが自由なんです。それは機械そのものの自重が軽い。したがって軽い物を取り付ける側も、軽い物で済むわけです。

加えて、何を運搬するかによって重量物に触れる吸着部分をカスタマイズしていきます。吸着部分にはゴムなどの柔らかい素材を使いますが、ガラスをゴムで吸着すると、ゴムが触れた部分は化学変化が起きることがあります。目視してもわかりませんが、結露すると吸着の痕跡がうっすらと浮き出てくることがある。このような場合は吸着部分のゴムの材質を変えます。カスタマイズには色々あります。どういうステンレスか、どこまでスパークレスにするか、フタル酸がだめなのか、使用者は女性か男性か、衛生レベルが高いか、雰囲気温度はどうか、騒音レベルはどうか、などなど。こうして業界の様々な難しい注文に、オーダーメイドで応えてきました。

お客様から「イージーリフトがない頃の作業を思い出せなくなった」と言われました

過酷な労働環境下では、ケガや事故のリスクも高まります。作業者の負担を軽減することで、そういった事態も減らせると思います。装置を使いこなすのに複雑な操作や知識・資格は一切ありません。初めて操作を体験される場合にも、コツをつかむのに早ければ10分、遅くとも30分あれば、自分の手で運んでいる様にスムーズな搬送作業が行えます。

力を使わずに重量物を運ぶ装置ですから、現場で作業される方がその便利さに喜ばれます。毎日数トン、十数トンと体力勝負で運ぶ過酷な現場もあります。腰を痛めたことのない人には、痛めたらどんなことになるか想像がつかないと思いますが、腰への負担は相当のものです。仕事を終えて作業者が家に帰ったとき、体がまだ元気であれば子どもをお風呂に入れることができる、子どもと遊ぶことができる。小さい子どもと遊ぶにはしゃがんだりして遊ぶわけですけど、それが苦痛でなくなります。
週末であれば、寝て体を休める必要がなくなり、家族と元気よく出掛けてアクティブに過ごすこともできるんです。

今、我が家の下の子は「パパと一緒にお風呂に入りたい、遊びたい」と盛んに言ってきます。上の子はサッカーを一生懸命やっていて、自分が一生懸命サッカーをする姿をパパに見て欲しいし、一緒にサッカーを楽しみたい年頃です。もし仕事で体を酷使して、家に帰ったらひたすら横になるだけという状態だったら、こういう家族との時間が持てなくなってしまう気がします。私たちが提供する機械装置を使ってくださる方が、家族に、あるいはその方の住む地域にプラスになるアクション、貢献ができる。
そうなることが私たちにとって一番重要なことです。

導入されたお客様に「この機械がなかった頃の作業を思い出せなくなった」と言われることが時々あります。
現場で作業される方が、以前よりも充実した時間を過ごされていると実感できることが、私たちの何よりの喜びです。

お客様の口コミで広がっています

意外に思われるかもしれませんが、弊社の装置を導入されているお客様の約7割がご紹介です。
前職の現場で使っていたという方、関連会社で使っているのを見たという方、取引先から勧められたという方もいらっしゃいます。あとの約3割のお客様は、展示会などで初めて装置をご覧になって導入して頂いた方々です。

こうして新たに導入し、実際に現場で実感された方が、新たなご縁を繋いでくださるケースがとても多いのです。
ですから、ご紹介をしてくださった方の信用に懸けても、私たちは一切の妥協を許すことなく、お客様第一主義であり続けます。

そして、日々の業務に追われ、展示会にご来場頂けないほど忙しい現場もまだたくさんあると思います。
こうした方々にこそ、当社の装置を使っていただきたいと思っています。
現場でひたむきに作業される方の負担を軽減し、その方の家族が幸せになり、
その方のいる地域が幸せになることを望んでいます。
また、装置を導入することで、高齢の方や非力な女性の方でも、重量物の搬送が楽にできるようになります。
いろんなチャンスがそこにあると思うんです。